「猫は鬱なので一度気になると、どうにもならないみたいです。食べ物も飼い主からもらえるので、どこまでもやろうとはしません。しかし、イノシシは生活がかかっています。食料が豊富な春から夏にかけては、強い超音波と大きな音と強い光が出るものであれば、効果があるかもしれません。しかし、晩秋から冬にかけては、食べられるものが少なくなるので、同じものでも効果が著しく低下します。」

「春から夏にかけてでも、効果がない場合があるのですか」と町会長。

「イノシシの数が少なくて食べるものが豊富であれば効果があると思いますが、イノシシの数が多ければ効果がないということになります。」

「なるほど。猪算で増えるので、去年は効果があったのに今年はないということもあるわけですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウェブで調べたとき、15年前泳いで渡って来たイノシシが、今では300頭を超え、島に住んでいる町民の数の3倍という新聞の記事を読んだことがあります。」

「計算上だけではなく、実際に猪算どおり増えてしまうのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。イノシシで毎年重傷者が出ている京都では、イノシシが急増している可能性が高いですね。」

「猪はネズミ算のように増えるので、増え始めると急激に増えるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。行政の対応が遅いのは、イノシシ算を理解していないためです。」

「結局、自分の庭は自分で守るしかないのですね。大きな音が出る超音波害獣撃退器で効果が出ない場合は、どうしたらいいのですか」と町会長。

「実は大きな音が出る超音波害獣撃退器で猫が来なくなると、スズメやムクドリが来て、砂苔を荒らすようになりました。最初は、ミミズを狙ってきていたと思うのですが、しばらくすると、猫が好んで荒していた斜面を好んで荒すのです。猫と違って、スズメやムクドリは鬱ではないので超音波撃退器にには限界があるだろうし、餌も自分で見つけて食べなければならないのだから、鳥との戦いは厳しいものになることを覚悟しました。」

「鳥は脳細胞の数が哺乳類と同じくらいあって、人間が絵を描いて楽しむように、自分の足で苔をグチャグチャにして、景色が自分で変えられるのを楽しむということでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。斜面になっているところは乾燥していてミミズはいないので、見やすくて使いやすいのでキャンバス代わりに使うのだと推定しました。」

「超音波害獣撃退器に加えて、鳥によっては効果があると言われる磁石を吊るしてみると、2、3日は効果があったのですが、しばらくすると前と同じように荒すようになりました。

その頃、動体視力が上がったたっめサーブが入らない状態が3カ月くらい続いていました。そして梅澤さんから『来月は必ずサーブを入れてください。サーブが入らなければ試合はできません』と言われてしまいました。

それで、軽く打って、とにかく100球は続けて入るサーブを開発しました。それを『へなちょこサーブ』と名付け、3種類ほど開発して、試合に使ってみると、梅澤さんが時々レシーブミスをするのです。今までレシーブミスをしたことがない梅澤さんが、3種類混ぜると、へなちょこサーブでもレシーブミスをするのです。人間は、こんなところにも脳に限界があるのだと気がついた瞬間でした。」

「それを鳥に応用したのですか」と町会長。

2019/12/5